
成人のお祝いに実印を贈るということ
親がそっと手渡す「名前の物語」
成人の日。
家の中が少しだけ静けさをまとったその夜、
父は押し入れの奥から、ヒノキの木箱をそっと取り出しました。
中には、息子の名前を刻んだ実印。
この日のために、大切にしまっておいた一本です。
「いまどき実印?」と笑う息子へ
木箱を開いた息子は、少し照れたように笑いました。
「いまどき実印って使うの?」
父はその笑顔を受け止めながら、静かに言葉を返します。
「困る時は、急に来るもんだ」
人生の節目で、責任や決断を求められる瞬間。
そのとき、自分の名前で押す印に、必ず向き合うことになる。
そんな“親としての経験”から出てくる重みある言葉です。

#image_title
母がそっと伝えた「名前に込めた願い」
その時、横にいた母が実印を見つめ、ゆっくりと言葉を重ねました。
「成人おめでとう。
その名前ね、あなたがお腹にいる時から
お父さんといっしょに、うれしくて何度も呼びながら考えたの。
この子が、ちゃんと笑って生きていけますようにって。
今日まで無事に育ってくれたことが、
それだけで、私にはもう十分すぎるのよ」
名前は“願い”の結晶。
親が子どもに贈る、最初で最大のプレゼントです。
無言で実印を握りしめた息子の背中
息子は何も言いませんでした。
ただ静かに、そして力強く実印を握りしめたのです。
その背中は、いつもより少し大人びて見えました。
父と母は、その姿を見つめながら思いました。
「子育てが、ひと区切りついたんだな」と。
成人祝いに「実印」を選ぶ理由
名前と願いを、しっかりと形にするために
実印はただの道具ではありません。
自分の名前に責任を持つ覚悟を与えてくれる“人生の相棒”です。
デジタルの時代になっても、
名前を自分で背負う行為の象徴として、実印が担う役割は変わりません。
成人という節目に贈る意味は、
「これから先は、自分の名前で生きていく」という静かなエールなのです。

#image_title
西野オンライン工房の、心をこめた手書きの実印
西野オンライン工房では、
京印章制作士による手書き文字で、一つずつ丁寧に印影を作っています。
フォントでは表せない“その人だけの線”。
親から子へ、名前に込めた願いをしっかり形にして届けます。
成人のお祝いに、実印。
名前に、人生の始まりと、
ここまでの愛を込めた贈り物です。
▼公式サイト
https://e-nisino.com/
▼成人の日特設ページ
https://e-nisino.com/seijin2018/

京の印影作家で京印章制作士の井ノ口清一です。
印鑑やハンコのことについて役立つ情報を配信しています。
よろしくお願いします。





